「この世で一番の奇跡」
1.カレンダーに今日のこの日に印をつける。次に今日から百日数え、その日に印をつける。
2.小さな四角い白旗をつけた小型の安全ピン(ラグピッカーのお守り)これから百日間、「神の覚え書き」が示している生き方をしようとしているのだということを片時も忘れないよう、目に見えるところに着けていてください。
3.百日間の使命の間、あなたが着けているお守りの意味を詮索しようとする人に、どんなことがあっても意味を解きあかしてはいけない。
4.百日の間、毎日、寝る前に「神の覚え書き」を読む。あなたが読んだメッセージが決して眠ることのない深層意識にしみこんでいくのに任せ、心安らかに眠りなさい。どんな理由や訳があっても、一晩たりとも、読むことを怠ってはなりません。
1週間、2週間続けていくうちに変化が現れる。
百日目、あなたは生きた奇跡になるでしょう。美と神秘と大志と能力を備えた新しい人間になる。
そのときはじめて、あなたの助けを必要としている人をさがしなさい。その人物に二つの物をあげなさい。ラグピッカーの秘密のお守りと「神の覚え書き」です。
次に100日読み返す9章の部分を引用します。
神からあなたへ
あなたの叫びが聞こえます。
幾重もの雲にさえぎられた暗闇を突き抜け、星の光と混じりあったあなたの叫びは、太陽の光の道筋にいるわたしの心に届きます。
罠にかかって窒息したウサギ、巣から転がり落ちたスズメ、池のなかでもがいている子供、十字架の上で血を流している息子の泣き声に、わたしは苦しめられています。
わたしがあなたの声を聞いていることをわかってください。そして心を平和にし、落ち着いてください。
わたしがあなたの悲しみを慰めてあげましょう。わたしはあなたの悲しみの原因も……それを癒す方法も知っています。
あなたは子供のときの夢が年を重ねるにつれて、ことごとくついえさってしまったことを嘆いています。
自分を敬う気持ちが数々の失敗によって崩されてしまったことを嘆いています。
自分の潜在的な可能性のすべてを、安全性と引き換えに、手放してしまったことを嘆いています。
自分の個性が大衆によって踏みにじられてしまったことを嘆いています。
自分の才能がすべてあやまった使い方によって、無駄にされてきたことを嘆いています。
あなたは自分自身のことを不名誉な人間として見つめ、水たまりに映った自分の姿から顔をそむけます。生気のない目で恥ずかしげにあなたを見返すこの人間の偽者は一体、何者なのでしょう?
あなたの優雅な作法、美しい姿、きびきびした動作、澄みきった心、気のきいた話し方はどこへいってしまったのですか? あなたのそうした品々を誰が盗んだのですか? わたしは盗んだ者の正体を知っていますが、あなたも知っているのですか?
かつてあなたは、あなたの父の牧場の草枕に頭をのせ、雲の大伽藍を見あげて、バビロンのすべての黄金がやがて自分のものになることを知りました。
かつてあなたはたくさんの本を読み、たくさん書き、ソロモンのすべての知恵に自分が追いつき追い越すことを確信していました。
そして、季節が移り変わって年がたつうちに、自分自身のエデンの園を治めるようになるだろうと確信しました。
あなたのなかにそれらの計画や夢や種を植えつけたのが誰か覚えていますか?
思い出せないでしょう。
はじめてあなたが母親の子宮から出てきて、わたしがあなたの柔らかな額に手をおいたときのことを覚えていないでしょう。あなたを祝福するさい、あなたの小さな耳元にわたしが囁いたことを覚えていますか?
わたしたちの間の秘密を覚えていますか?
思いだせないでしょう。
過ぎ去った年月があなたの記憶を破壊してしまったのです。なぜなら、恐怖、疑惑、不安、悔恨、憎悪があなたの心を満たし、それらの獣が棲みついた場所に、楽しい記憶がいすわれる余地がないからです。
これ以上、嘆かないでください。わたしはあなたとともにいます……この瞬間はあなたの人生の分かれ目です。今までに過ぎ去った年月は、母親の子宮のなかで眠っていたのと同じようなものです。過ぎ去ったものは死んだものです。死人は死人に埋めてもらいましょう。
今日、あなたは生きた屍から蘇ります。
エリヤが未亡人の息子にやったように、今日、わたしはあなたの上に三度覆いかぶさりましょう。そうすれば、あなたはふたたび生きはじめるでしょう。
エリシャがシュネム人の息子にやったように、今日、わたしはあなたの唇に唇を、目に目を、手に手を重ねましょう。そうすれば、あなたの肉体はふたたび温まるでしょう。
ラザロの墓でイエスがしたように、今日、わたしはあなたに出てくるように命じましょう。そうすれば、あなたの運命の洞穴から歩み出て、新しい人生をはじめるでしょう。
今日はあなたの誕生日。あなたの新しい誕生の日。あなたの最初の人生は、劇のリハーサルのようなものにすぎませんでした。今回は幕が上がります。今回は世間が見つめ、拍手する用意をしています。今回、あなたは失敗しません。
あなたのロウソクを灯しなさい。パンを分かちあいなさい。ワインを注ぎなさい。あなたは生まれ変わったのです。
さなぎからかえった蝶のように、あなたは飛びたつでしょう。望みのままに高々と飛ぶでしょう。ハチもトンボもカマキリも、真の人生の豊かさをもとめようとするあなたの使命や探求を邪魔しないでしょう。
あなたの頭にわたしの手が置かれているのを感じなさい。
わたしの知恵に耳を貸すのです。
あなたが生まれたときに聞いて忘れてしまった秘密をいま一度、分かち合いましょう。
あなたはわたしの最大の奇跡。
この世で一番の奇跡。
それがあなたの最初に聞いた言葉だったのです。そのあとであなたは泣きだしました。誰でもみんな泣くのです。
あなたはわたしを信じなくなりました。あなたの不信を正してくれることは、今までなにも起こりませんでした。つまらない仕事で自分が失敗したと思っているときに、どうして自分が奇跡になりえましょう? どんなささいな責任も果たす自信がないときに、どうして自分が奇跡でありえましょう? 負債に縛られ、明日のパンを思い煩っているときに、どうして自分が奇跡になりえましょう?
それ以上は言わないでください。こぼれたミルクはもとには戻らないのです。でも、わたしは、これまでどれだけの預言者、賢人、詩人、美術家、作曲家、科学者、哲学者、伝導者を送って、あなたが聖なる存在であることや神のような潜在能力をもっていることを告げさせ、成功の秘密について語らせたでしょう? あなたは彼らをどのようにあつかいましたか?
それでもわたしはあなたを愛しています。預言者が預言したとおり、今、わたしはあなたとともにいます。あなたを救うために。
ふたたびわたしはあなたの上に手を置きます。
今回で二度目です。
あなたはわたしの面影を宿しています。
それを知らなかったのですか? 聞いたことがありませんでしたか? 最初から告げられていなかったのでしょうか? 地が創造されたときからずっとわかっていなかったのですか? そのように尋ねてもむだでしょう。
あなたはそれを知りませんでした。聞いていませんでした。わかっていませんでした。
あなたは、神のようななりをしていると告げられてきました。愚か者を演じる神だと告げられてきました。
あなたは、高貴な目的と無限の能力をもった特別な芸術作品だと告げられてきました。天使のようにふるまい、神のような理解力をもった、形も動きもすばらしい作品だと告げられてきました。
あなたは地の塩だと告げられてきました。
あなたは山を動かす秘密や、不可能を可能にする秘密さえ授けられました。
なのに、あなたは誰も信じなくなりました。幸福へといたる地図を焼き払い、心の平和をもとめることをやめ、栄光へとつづく運命の道の脇におかれたロウソクを消してしまったのです。そして、無意味さと自己憐憫の暗闇のなかで、つまずき、迷い、恐れ、ついには自分で生みだした地獄に落ちてしまったのです。
その結果、あなたは泣き、胸をかきむしり、自分の身にふりかかった運命を呪いました。自分自身の狭い了見と怠惰なおこないが目の前の結果を生みだしていることを認めようとせず、自分の失敗の責任を負わせるスケープ・ゴートをさがしました。なんと素早く、スケープ・ゴートを見いだしたでしょう。
あなたはわたしを責めました!
自分の困難、凡庸さ、チャンス不足、失敗は……神の意思だと叫んだのです!
あなたは間違っています!
あなたはすばらしい恵みをさずけられているのです。
あなたの目をごらんなさい。目があるゆえに、あなたは昇り沈みする太陽を見ることができます……わたしがあなたの目につけた何億という感覚の受容器が、美しい緑の葉や純白の雪を見ることを可能にしているのです。静かな池のたたずまい、悠々と空を飛ぶ鷲、はしゃぎまわる子供たち、夜空を照らす星を見られるのも目のおかげです。
その恵みに感謝しなさい。
あなたのもっている耳。それはなんと見事な道具でしょう。それがあるゆえに、赤ん坊の笑い声も泣き声も聞くことができます。あなたのそれぞれの耳にわたしが組みこんだ二万四千本の神経繊維が木々のそよぎ、岩にあたって砕ける潮の音、荘厳なオペラ、コマドリの訴え、子供たちの遊ぶ声……そして、あなたを愛していますという言葉に反応してふるえるのです。
その恵みに感謝しなさい。
あなたの唇、それは唾をはくためだけのものではありません。唇があるゆえに、あなたは話すことができます……私が生みだしたほかの生物はできませんが、あなたの言葉は、怒りを鎮め、意気消沈した人を元気にし、仕事を投げだしたがっている人を激励し、不幸な人を楽しませ、孤独な人を癒し、褒める価値のある人を褒め、敗北した人を励まし、無知の人に教え……あなたを愛していますと言うことができます。
その恵みに感謝しなさい。
あなたは、風や周囲のものにいじめられるまま、小さな一点に縛りつけられている木ではありません。背伸びをし、走り、踊り、働くことができるのです。というのも、わたしがあなたのなかに設計して組みこんだ五百の筋肉、二百の骨、十一キロメートルもの神経繊維が、あなたの命ずるままに、協調して働くからです。
その恵みに感謝しなさい。
あなたは愛に飢えていますか? 夜も日も、孤独にのみこまれていますか?
いいえ、これからはそうではありません。わたしが愛の秘密を教えましょう。愛を受け取るには、愛されることはもとめずに愛をあたえなければならないという秘密です。なにかの目的をはたすためや満足をうるために、また自分の誇りを守るために愛することは、愛ではありません。愛とはなんの見返りももとめない贈り物なのです。今やあなたは、利己心をもたない愛がそれ自体で報酬であることを知っています。たとえ、あたえた愛がかえってこなかったとしても、愛は失われません。報われない愛はあなたのもとに舞い戻り、あなたの心を和らげ、浄めるからです。
その恵みに感謝しなさい。二度、感謝しなさい。
あなたの心臓は脈打っています。胸に触れて、日夜、脈打つそのリズムを感じてみなさい。眠っているときも、目覚めているときも、毎年毎年、三千六百万回の脈を打ち、静脈や動脈や血管のなかに大量の血液を送りだしているのです……毎年、二百七十万リットル以上の血液を送りだしているのです。人間は決してそのような機械を作りませんでした。
その恵みに感謝しなさい。
あなたの柔らかい皮膚をごらんなさい。それは驚くべき創造の産物であり、石鹸とオイルとブラシで世話をし、気づかってやるだけでいいのです。すべての鋼鉄はときがたてば色あせて錆びつきますが、あなたの皮膚はそうではありません。最強の金属でさえ、使えばやがてすりきれますが、わたしがあなたの周囲にこしらえた皮膚という層はそうではありません。年老いた人間が若い人たちに取って代わられるように、皮膚もたえず古い細胞を新しい細胞に取って代わらせ、新しくなるのです。
その恵みに感謝しなさい。
深々と呼吸をしてごらんなさい。すがすがしい生命の息吹が体内に入ってくるのがわかるでしょう。肺という命の窓がそれを可能にしているのです。あなたの命の窓はあなた自身がつくりだした最悪の環境のなかでさえ、あなたをささえています。六億もの折りたたまれた肉のポケットを通してあなたを生かす酸素を濾過するいっぽうで、ガス状の老廃物を体内から排出させているのです。
その恵みに感謝しなさい。
あなたの全身には温かな血が流れています。あなたの四.七リットルの血液のなかには、二十二兆もの血液細胞がふくまれており、それぞれの細胞には、数百万の分子がふくまれています。さらに、各分子のなかには、毎秒、一千万回以上の速さで振動している原子があります。毎秒、二百万個以上の血液細胞が死んで、新しい細胞に取って代わられるということが、あなたの誕生以来つづいているのです。体のなかがつねにそうだったように、あなたも今、生まれ変わろうとしています。
その恵みに感謝しなさい。
あなたの脳、それは宇宙でもっとも複雑な構造物です。わたしは知っています。およそ千三百グラムの脳のなかには、百三十億もの神経繊維が入っています。これは地球上の人口のほぼ三倍にあたります。あなたが誕生以来体験したあらゆる知覚、音、味、匂い、行動をしまいこんでおくのを助けるために、わたしは、あなたの細胞のなかに数え切れないほどの分子を埋め込みました。あなたの人生でおきたすべての出来事がそこにあり、思い出されるのを待っています。また、脳が体を制御するのを助けるために、あなたの体じゅうに、四百万の痛みを感じる探知機、五十万の感触の探知機、二十万以上もの温度を感じる探知機をちりばめておきました。いかなる国の金塊もあなたほど完璧に守られていることはないでしょう。古代の驚異をさがしてみても、あなたほど偉大なものはないでしょう。
あなたはわたしの最高の創造物。
あなたのなかには、世界の偉大な都市を破壊し……再生することのできる充分な原子エネルギーがふくまれているのです。
これでもあなたは自分が貧しいというのですか?
いいえ、あなたは裕福です! たった今、あなたの富を一緒に数えあげてきました。目録を振り返ってみてごらんなさい。もう一度、それを数えてみなさい。自分の財産を数えてみるのです!
なぜあなたは自分を裏切ったのですか? 人間のすべての恵みが自分からはぎ取られてしまったと嘆くのはなぜですか? 自分に人生を変える力がないと、どうして自分に嘘をついたのですか? あなたには才能も、五感も、能力も、楽しみも、本能も、感覚も、誇りもないというのですか? 希望もないのですか? 敗北した巨人のようにどうして隅に縮こまっているのですか? じめじめした地獄のなかがそんなにもいいと言うのですか?
あなたは多くのものをもっています。あなたの恵みはコップから溢れています。……贅沢によって甘やかされた子供のように、それらにあなたは気づかないのです。わたしは気前よく平等にそれらのものを授けたのです。
わたしに答えてください。
自分自身に答えてください。
あなたが自分の恵みをそんなにも軽々しくあつかうなら、年老いて病にたおれ、弱って絶望した裕福な人間ですら、地下にためこんだ黄金を、若さや健康とひきかえようとしないでしょう。
幸福と成功に導く第一の秘密を教えてあげましょう。あなたは今このときでさえ、偉大な栄光を達成するために必要なすべての恵みをもっているということです。それらはあなたの宝であり、今日から、新しいより良き人生の基盤を作るための道具なのです。
ですから、自分の恵みに感謝し、すでに自分が偉大なる創造物であることを認識してください。それが、この世で一番の奇跡をおこない、生きた屍から蘇るためにあなたがしたがわねばならない第一の法則です。
貧しさのなかで学んだ教えに感謝しなさい。なぜなら、物を持っていない者が貧しい者ではないからです。より多くを欲する者だけが貧しいのです。真の安心は、もっている物のなかにはなく、物をもたなくてもできることのなかにあります。
あなたを失敗に導いた不利な条件はどこにあるのですか? あるのはあなたの心のなかだけにすぎません。
自分の恵みに感謝しなさい。
第二の法則は第一の法則に似ています。
第二の法則は、自分のかけがえのなさを主張するということです。
あなたは自分を無縁墓地に閉じこめ、自分自身の失敗を許せないまま、自己憎悪と罪の意識で自分を責めつづけています。自分自身や他人に対して犯した罪を糾弾しつづけています。
あなたは不思議に思うかもしれません。あなたが自分の失敗や罪、あさましいふるまいを許せないのに、なぜわたしが許せるのかと。
あなたに三つの理由を教えましょう。第一にあなたはわたしを必要としています。あなたは灰色の凡庸さのかたまりのなかで破壊に向かって進む群集の一人ではありません。そして、あなたは偉大でまれな存在なのです。
レンブラントの絵画、ドガのブロンズ像、ストラディバリウスのバイオリン、シェークスピアの戯曲を思い浮かべてください。それらは二つの理由で偉大な価値をもっています。一つは創作にあたった者が達人であるということ、もう一つは、その数か少ないということです。けれども、それらのうちのどれよりも、めずらしいものがあります。
あなたこそ、地球上でもっとも貴重な宝なのです。自分を創りだしたものが誰かを知っているだけでなく、自分がこの世にたったひとりしかいないことを知っているのですから。
人類の歴史がはじまって以来、この惑星の上を歩いたことのある七百億人の人間のなかに、あなたとまったく同一の人物は誰もいないのです。
この世の終わりまで、あなたのような人物は出てこないでしょう。
あなたは自分のかけがえのなさを知りもしなければ、評価もしてきませんでした。
でも、あなたはこの世でもっともまれな存在なのです。
崇高な愛の瞬間、あなたの父親から数にして四億以上のおびただしい愛の種子が流れだしました。あなたの母親の胎内を泳いでいる途中、そのすべてがあきらめて死んでいったのです。たった一つ、あなただけを除いてすべてが。
あなただけが母体の温かさのなかで辛抱し、あなたのかたわれであるたった一つの細胞をさがしもとめたのです。その細胞はとても小さいので、子宮を満たすために二百万個もの細胞が必要でした。しかし、どんなに小さな確率でも、その広大な暗闇と混乱の海のなかで、あなたは我慢し、極微の細胞を見いだして合体し、新しい人生をはじめたのです。ほかでもないあなたの人生を。
あなたは、すべての子供がそうであるように、まだ人間に失望していないというメッセージを携えて到着しました。そうして二つの細胞は奇跡の融合をとげたのです。二つの細胞のそれぞれは二十三対の染色体をふくみ、各染色体のなかには、何百という遺伝子がふくまれています。それらの遺伝子があなたの瞳の色や魅力的な物腰から脳の大きさにいたるまで、あなたの特徴をすべて司るのです。
四億もの精子と、各染色体の何百もの遺伝子を組みあわせれば、三百兆もの異なった人間を生みだすことが可能なのです。
けれども、誰をわたしは生み出したでしょう。
あなたです! たった一人しかいない、かけがえのないあなたです。心や言動、動きや容貌や行動において、これまで生きてきた誰とも、今、生きている誰とも、これから生まれてくる誰とも同じでない性質を備えた値段のつけようのない宝物。
あなたは値段のつけようがないほど値打ちがあるのに、どうして自分を安売りしてきたのですか?
あなたをけなす人の言うことにどうして耳を傾けたのですか? なお悪いことに、どうして彼らを信じたのですか?
わたしの忠告を聞いてください。これ以上、自分のかけがえのなさを暗闇に隠してはなりません。表に出すのです。世界に示すのです。あなたの兄が歩くように歩いてはなりません。あなたの指導者が話すように話してはなりません。人が働くように働いてはなりません。他人と同じようにしてはならないのです。人真似をしてはならないのです。自分が悪魔の真似をしていないことがどうしてわかるでしょう。誰のことも模倣してはなりません。自分自身でありなさい。自分のかけがえのなさを世界に示しなさい。そうすれば、世界はあなたに黄金をもって応えるでしょう。 それが幸福と成功に導く第二の法則です。
あなたのかけがえのなさを主張しなさい。
今、あなたは二つの法則を手にいれました。
自分の恵みに感謝しなさい! 自分のかけがえのなさを主張しなさい!
あなたには不利な条件などなにもありません。あなたは凡庸ではないのです。
あなたは他人に意見を合わせます。無理に笑顔も作ります。自分を偽っていることも認めます。
次のあなたの不平はなんでしょう。自分にチャンスがめぐってこないということですか?
そのようなことは終わりになります。今、わたしがあなたにあらゆる企てで成功する法則を教えるからです。何世紀も前、この法則は山頂からあなたの祖先にあたえられました。ある者たちはその法則を重んじたゆえに、幸福と成功と富と心の平和に満たされた人生を送りました。けれども、ほとんどの人たちはそれに耳を貸しませんでした。というのも、魔法の手段やよこしまなやり方をさがしもとめ、彼らに豊かな人生をもたらしてくれる幸運という悪魔を待っていたからです。彼らはむなしく待ちつづけました。ちょうどあなたが待っているように。そして、あなたが泣いたように泣き、幸運の不足をわたしの意志のせいにして責めました。
その法則は単純なものです。老若男女、貧民も王も、誰でも自分のためにこの秘密を用いることができます。成功のあらゆる法則やどうしたら成功できるかについて言われたり、書かれたりしてきたもののなかで、この法則だけがしくじったことがありませんでした。
「もし、誰かが、あなたをしいて一マイル行かせようとするなら、その人とともに二マイル行きなさい」――つまり自分の枠を超えるという法則です。
それが第三の法則です。あなたの夢を超えた豊かさと喝采を生みだす秘訣なのです。
自分の枠を超えなさい!
たった一つの確かな成功の手段は、どんな仕事をしていようと、自分に期待されている以上の奉仕をすることなのです。それは歴史がはじまって以来、成功した人たちすべてがしたがってきた習慣です。したがって、自分自身を凡庸にさせておくためのもっとも確実な方法は、支払いを受けているぶんだけの仕事をすることだと言えます。
自分が受け取っているお金以上の仕事をするのは騙されている証拠だと思ってはいけません。なぜなら人生には振り子があって、あなたのかく汗は今日、報われなくても、明日、十倍になって戻ってくるからです。凡庸な人間は自分の枠を決して超えようとはしません。自分を騙すべきではないと思うからです。しかし、あなたは凡庸な人間ではありません。枠を超えるのは自分自身の意志で承認しなければならない特権なのです。それは避けられないし、避けてはなりません。それを無視し、他人と同じようにほとんどなにもしないでいてみなさい。そのときの失敗の責任をとるのはあなた以外にありません。
自分の枠を超えて奉仕すれば、必ず報酬がついてまわります。原因と結果、手段と目的、種と果実、これらは引き離すことができないのです。結果はすでに原因のなかに咲いています。目的はすでに手段のなかに存在し、果実はつねに種のなかにあります。
自分の枠を超えなさい。
不快な主人に仕えていても、気にしてはなりません。彼にもっと奉仕しなさい。
そして、あなたに借りがあるのは、彼ではなく、わたしということにしてください。そうすれば、刻一刻と余分な奉仕への報酬が支払われているのが感じられるでしょう。すぐに報酬がこなくても、心配しないようにしなさい。長い間、支払いが止められていればいるほど、あなたにとっていいでしょう。利息に利息が重なるというのが、この法則の最大の利点なのです。
あなたは成功を強要することはできません。成功に値することができるだけです。そして今、まれなる報酬に値するために必要な、偉大なる秘密を知ったのです。
自分の枠を超えなさい。
チャンスがないと言って泣いた場所はどこにありますか? 見なさい! あなたの周囲を見まわしてみなさい。つい昨日、自己憐憫でのたうっていた場所で、あなたは黄金のカーペットの上を背筋を伸ばして歩いています。なにも変わってはいません……あなた以外に。そしてあなたがすべてなのです。
あなたはわたしの最大の奇跡。
この世で一番の奇跡。
今や、幸福と成功に導く法則は三つあります。
自分の恵みに感謝しなさい! 自分のかけがえのなさを主張しなさい! 自分の枠を超えなさい!
根気づよく進まなければなりません。感謝の気持ちをもって自分の恵みを数えあげ、誇りをもって自分のかけがえのなさを主張し、自分の枠を超えて進むのです。これらのことは、まばたきする間には実現されません。苦労に苦労を重ねて獲得したものこそ、もっとも長持ちするのです。自分で財産を築いた者のほうが、相続した者より自分の財産を大切にするのと同じです。
新しい人生に入っていくのを恐れてはなりません。崇高なことをなしとげようとすると必ずリスクがともないます。リスクを負うのを恐れる者は、崇高なことをなしとげようと期待してはなりません。今やあなたは、自分が奇跡であることを知っています。奇跡には恐怖はないのです。
誇りをもちなさい。あなたは人生の研究室で実験をしている気まぐれで無頓着な研究者ではないのです。理解できない力の奴隷ではないのです。あなたはほかならぬわたしの力の自由な表現であり、わたしの愛の自由な現われなのです。あなたは一つの目的をもって創られました。
わたしの手を感じなさい。わたしの言葉を聞きなさい。
あなたはわたしを必要としています。わたしはあなたを必要としています。
われわれには再建すべき世界があります。もしそれに奇跡が必要なら、その奇跡とはなんでしょう? わたしたちが両方とも奇跡だということです。
わたしは、はじめて巨大な波からあなたをつむぎだし、砂の上のあなたを打ちあげた日以来、あなたへの信頼を失ったことがありません。あなたの時間にすれば、それは五億年以上も前のことでした。三万年以上も前にあなたを完成させるまで、たくさんのモデル、形、大きさがありました。それ以来、あなたを改善する努力はしていません。
というのも、どうして奇跡を改善することができましょう? あなたは見るだけで一つの驚異であり、わたしを喜ばせました。わたしはあなたにこの世界とその統治権をあたえました。それから、あなたが自分の可能性を完全に出しきれるように、わたしはもう一度、あなたの上に手をおき、今日でさえ、宇宙のいかなる生物にも知られていないパワーを授けたのです。
わたしはあなたに、
考える力をあたえました。
愛する力をあたえました。
意志の力をあたえました。
笑う力をあたえました。
想像する力をあたえました。
創造する力をあたえました。
計画する力をあたえました。
話す力をあたえました。
祈る力をあたえました。
あなたを誇りに思うわたしの気持ちには限りがありません。あなたはわたしの究極の創造物、もっとも偉大な奇跡なのです。完璧な生き物なのです。いかなる風土や困難、挑戦にも応じられる存在。わたしからのいっさいの干渉がなくても、自分自身の運命を操ることができる存在。感じたものや知覚したものを、本能的にではなく、考え、熟慮することによって、自分自身や全人類にとって最良の行動に変えることのできる存在なのです。
かくして、われわれは成功と幸福の第四の法則にいきつくのです。わたしはもう一つ、天使さえもっていない偉大な力をあなたにあたえました。
選択する力です。
この贈り物によって、わたしはあなたを天使より上位に置いたのです。なぜなら、天使は選ぶ自由をもっていないからです。わたしはあなたに自分の運命の完璧な制御権をあたえました。自分の自由意志に相談して、あなた自身の性質を自分で決めるよう告げたのです。あなたは本質的に天国的存在でも、地上的存在でもありません。自分の好みに応じた形に自分を作る自由をもっているのです。あなたは最低の生命に堕落する自由をもちましたが、それと同時に、魂の判断により、神聖な高次元の生命に生まれ変わる力ももったのです。
わたしはあなたから偉大な力、選択する力を取り上げたことはありません。
この莫大な力をあなたはどうしましたか? 自分自身を見つめてください。これまでの人生にあなたがなしてきた選択を振り返ってみてください。
過ぎ去ったものは過ぎ去ったものです。今、あなたは第四の偉大な幸福と成功の法則を知っています……自分の選択する力を賢く使いなさい。
憎むより、愛することを選びなさい。
泣くより、笑うことを選びなさい。
破壊するより、創造することを選びなさい。
あきらめるより、忍耐することを選びなさい。
人のうわさ話をするより、褒めることを選びなさい。
傷つけることより、癒すことを選びなさい。
盗むより、あたえることを選びなさい。
ぐずぐずすることより、行動することを選びなさい。
堕落することより、成長することを選びなさい。
呪うより、祈ることを選びなさい。
死ぬより、生きることを選びなさい。
今あなたは、自分の不運がわたしの意志ではなかったことを知っています。というのも、すべての力があなたのなかに授けられているからです。人間性を拒否する行動や思考の蓄積はあなたのしていることであって、わたしのものではありません。わたしの贈り物は小さなあなたの性質に大きすぎたのです。今では、あなたは大きく成長して賢くなりました。大地の恵みはあなたのものになるでしょう。
あなたは人間以上の存在なのです。開かれた可能性をもった「成る人間」なのです。
あなたは驚異的なものごとをやってのけることができます。あなたの可能性には限りがありません。わたしが創ったほかの創造物のなかで、火を用いることをマスターしたものはいますか? 重力を征服し、天に突入し、いろいろな病気や疫病や旱魃を征服したものはいるでしょうか?
二度と身を落としてはなりません!
クズのような人生に甘んじてはいけません!
今日のこの日から、自分の才能を隠してはなりません!
子供が「大きくなったら」と言うのを思い出してください。しかし、それはなんでしょう? 大きくなった少年は言います。「大人になったら」と。大人になると、「結婚したら」と言います。しかし、結婚したからって、それがなんだというのでしょう? 結婚すると、考えが変わり、「退職したら」と言います。退職のときがくると、歩んできた風景を振り返ります。冷たい風がその上を吹き渡り、どうしてか自分の人生をつかみそこねたことに気づきます。
今日のこの日を楽しみなさい。明日は明日、楽しめばいいのです。
あなたはこの世で一番の奇跡をなしとげたのです。
生きながらの死から蘇ったのです。
もうこれ以上、自分を憐れまないでしょう。毎日が、挑戦となり、喜びとなるでしょう。
あなたはふたたび生まれ変わったのです。でも、以前と同じように、失敗や絶望を、あるいは成功や幸福を選ぶことができます。選択はあなたにまかされています。選択するのはあなただけなのです。わたしは前と同じように、誇らしく、あるいは悲しみながら、見つめていることしかできません。
では、ここで幸福と成功の四つの法則を思いだしてください。
自分の恵みに感謝しなさい。
自分のかけがえのなさを主張しなさい。
自分の枠を超えなさい。
選ぶ力を賢く用いなさい。
そして、もう一つ、以上の四つを実現するために必要なことがあります。自分自身への愛、他者への愛、そしてわたしへの愛をもって以上のことをやり抜くということです。
涙をぬぐいなさい。手を伸ばしてわたしの手をつかみ、背筋をピンと立てなさい。
あなたを縛ってきた墓場の衣装をわたしに切り裂かせてください。
今日、あなたは知らされました。
自分こそ、「この世で一番の奇跡」であることを。
引用文献:この世で一番の奇跡(著:オグ・マンディーノ/訳:菅 靖彦)<PHP文庫>